ハルホールの大航海

猫を連れての英国滞在記

移動2日目

【パリ~ディエップ(電車)】

昨晩発券してもらった切符を持って、St. Lazare駅から Rouen Rive Droite駅乗り換えでディエップに向かいます。
ヨーロッパの鉄道って、改札がなくていきなり乗車できてしまうけれども、乗車券なしで乗ると高額な罰金が課されるのが一般的とのこと。でも、車掌さんのチェックをすり抜けて無賃乗車する人も多いんではないか…、などと思っていたら、電車の出発後、割とすぐに改札に来ました。なるほど、動いている電車の中だったら逃げようがないか…。しかし途中から乗ってきた人と前から乗っている人をどう区別するのか?など、疑問は尽きない。

改札の時に、

車掌さん:…犬?
愛猫:にゃー(もぞもぞ)
車掌さん:…(にやり)
なんていうやり取りもありました。別にどっちでもいいみたいです。

 

【ディエップ】

電車の旅で順調にディエップに到着。ディエップは港町。風が冷たい!!駅を出てすぐのところにタクシー乗り場があるので、そこからタクシーでフェリー乗り場へ。

こんな機会でもない限り、一生来なかったであろう町。何が名物なのかなあ、などと思いつつも、市内観光している時間はないので、すぐにフェリー会社でチェックイン。車なしの乗客用の乗り場の受付で、チケットを発券してもらいます。

その際、ペットを連れていると、フェリー会社が用意したチェックリストに則って、イギリスへのペット輸入に関する条件を満たしているかどうかチェックが入ります。マイクロチップ読み取り機で番号を読み取った後、日本の動物検疫所で発行してもらった書類を見せて、条件をクリアしていることを確認してもらいました。

出航20分前くらいになるとゲートが開いて、フランスからの出国スタンプをもらって、いよいよ乗船。(*この時も動物検疫の手続きや書類のチェックなし)

 

【ディエップ~ニューヘーブン(フェリー)】

船で渡英かー、ちょっとレトロで素敵かも?なんて思いつつ、まずは愛猫を預けます。

フェリー会社の規定により、車なしの乗客のペットは、フェリーに設置されているケージに移されます。私の愛猫も、そのケージに収容。とはいえ、Hook of Holland~Harwich航路のフェリーみたいな頑丈なものではなく、ホームセンターで売っている大型犬用のケージみたいな手作り感満載のケージが床置きされているだけでした。この路線のフェリーにはケージが1つしかないと言われましたが、見たところ、2つありました。そして、ちょっと動物臭い…。

とはいえ、狭いキャリーバッグの中でじっとしているのよりは少しはましでしょう。ケージの中に、ごはんと水とトイレシートをセットして、私は人間用のエリアへ移動。

人間用個室は予約しませんでしたが、確かに不要でした。船内にはレストランがいくつかあるだけでなく、大きめの椅子がたくさん配置されていて、ゆっくり座って到着を待つことができるようになっています。

航行中、係員に頼めば1、2度ペットの様子を見に行けるよ、と言われましたが、私は時差ボケと疲れから、出航してすぐに爆睡してしまい、愛猫の様子を見に行くことはありませんでした。ふと気づいたら到着を知らせる船内放送が…。景色もあまり楽しめなかった(泣)。

ケージの中で案外大人しくしていた様子の愛猫を引き取り、いよいよイギリスへ。

【追加情報】

全く考えもしませんでしたが、フェリーは悪天候により欠航になる場合があるそうです。今回は予定通り出航しましたが、今後フェリーで渡英される方は、欠航に備えて出航する港町のホテル情報をおさえておいた方が良さそうです。

 

【ニューヘーブン】

私は愛猫の引き取りがあったので、下船した乗客のうち最後の一人だったようです。イギリスの入国審査官のいる部屋に入った時、もう他に人はいませんでした。
まずは人間の入国審査。これは問題なく完了。
次に、愛猫の入国審査ならぬ動物検疫。成田の検疫所からの書類を提示して、最終的に無事に入国できました。

しかし、ここで問題視されたのは、ペットパスポート以外の書類、すなわち日本の動物検疫所発行の書類が、公式書類として有効なのかという点と、フランスから入国したのにフランス側からの動物検疫書類がないという点。ちなみに、ニューヘーブンの入国審査場には、動物検疫を担当するDEFRAの職員はいません…。

それで、その入国審査官の方は、DEFRAに電話しまくって、動物検疫の証明書は必ずしもペットパスポートである必要はないこと、そして日本の動物検疫所発行の書類は第三国発行の証明書として有効であるということを確認してくれました。

そして第2の問題点、フランス側が何もチェックしていないこと…。一応、シャルルドゴール空港で動物検疫所を探したけど見つからなかったし、誰にも何も言われなかった旨説明しました。また、出国時もチェックされなかったと。そして、フェリー会社の職員がチェックリストを作成してくれたので、一応そのリストを渡したところ、「これってフェリー会社の書類だよね…他に何もないんだよね…」と入国審査官の方も苦笑い。

結局、日本の動物検疫所発行の書類が有効なので(そして、もしかしたらフェリー会社の書類があったから?)、フランスの動物検疫官の署名&捺印がなくても問題ないという判断に落ち着き、無事に人間も愛猫も入国できることになりました。やれやれ。

このニューヘーブンでの入国審査と動物検疫には、結局1時間以上かかりました。入国審査官の方は、自分はBorder Forceの所属で、動物検疫は本来管轄外なので確認に手間取ってしまった、お待たせしてすみませんと丁寧にお詫びをしてくれました。


ところで、そのご面倒をおかけした入国審査官の方はコワモテの若い男性だったのですが、諸々の問題が解決した後、わが愛猫のキャリーバッグの前に仁王立ちして「猫の顔が見たい」とおっしゃるではありませんか。
そういえばマイクロチップの読み取りもしていないし、このキャリーバッグの中にいるのが本当に猫かどうか確認したいのだろうか…、いちゃもんつけられたら嫌だなあ…、と思いつつも、自慢の愛猫をお見せしたところ、にこっと微笑みが。
「わー、かわいいねえ。実は僕も猫飼ってるんだ~」と言って、満面の笑みでスマホの待ち受け画面にしているご愛猫の写真を見せてくださいました。実は愛猫家だったのね…。

そんなこんなで、ハルホールとその愛猫は、無事に渡英したのでした。